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Be Cruelty-Free Japan. HSI
東京 — 動物福祉の世界的リーダーであるヒューメイン・ソサイエティー・インターナショナル(Humane Society International, HSI)と世界的に有名なインビトロ・サイエンス研究所(Institute of In Vitro Sciences, IIVS)の動物を用いない試験法の専門家が、日本において「化粧品の動物実験の廃止へ向けた科学・規制」に関する国会議員を対象とした勉強会で講演した。今回の日本の勉強会は、HSIのBe Cruelty-Free思いやりのある美しさキャンペーンのアジアにおける科学ツアーの一環であり、日本はツアーの二か所目となる。ツアーは香港、台湾及び中国を回る予定で、政策立案者や科学者との高レベルな意見交換会に焦点を当てたものである。
大島九州男参議員議員(民主党)、川田龍平参議院議員(結いの党)、福島みずほ参議院議員(社民党)及び阿部知子衆議院議員(無所属)が共同呼びかけ人となったこの超党派の勉強会は、国会議員にとって、化粧品の動物実験を終わらせるキャンペーンとしては世界最大規模のHSIのBe Cruelty-Free思いやりのある美しさキャンペーンから、法的側面、科学的側面そして企業に対する取り組みに関するグローバルな視点を理解する機会となった。
世界の流れがCruelty-freeな(動物に苦痛を与えない)化粧品に向いている中、日本も同様の方向に転換するように促されている。日本の法令では、一般化粧品については特段動物実験が義務付けられておらず、また禁止もされていない。したがって、企業は動物実験を実施することを選択できるようになっており、新規の防腐剤やUV吸収材等、特定の新規の化学物質を用いる場合等に動物実験が求められる。また、薬用化粧品(医薬部外品)においても、新たな原料を使う際に動物実験が求められている。
HSIの研究・毒性学部門のディレクターで、Be Cruelty-Free思いやりのある美しさキャンペーンの責任者であるトロイ・サイドルは次のように述べている:「世界各国が、化粧品産業から動物実験を消し去ろうと動いている中、鍵となる化粧品市場として、日本がリーダーシップを示す良い機会であると考える。2018年までに、世界中のインビトロの試験産業の価値は1800万米ドルまで増加すると考えられており、動物実験の禁止は、日本の科学セクターがさらなる先進技術を開発する強力な動機となりうる。日本は、最先端の技術を要しているので、過去の時代のものであり、科学的に信頼性の低い動物実験を終わらせることは理にかなっていると思う。昔から安全性が確立されている原料を使ったり、人間に対する影響をより適切に評価できる試験方法を用いて開発された化粧品は、製品の安全性の向上にもつながるので、日本の消費者にとってもメリットとなる。」
日本においても、化粧品の動物実験を終わらせることを支持する消費者は増えている。勉強会においては、国会議員向けに、何百人もの市民が署名した大きなBe Cruelty-Freeの誓約のパネルが展示された。署名は、最近開催されたアースデー東京2014において、cruelty-freeな化粧品の製造販売を行う株式会社ラッシュジャパンと共同で集められたものである。
化粧品の動物実験に関する動向:
- 化粧品の動物実験は既に欧州連合(EU)、ノルウェー、イスラエル及びインドにおいて禁止されており、ここ数ヶ月間において、アメリカ、オーストラリア及びブラジルにおいても法案が提出されている。ニュージーランドでは、国の動物福祉法の見直しに伴い、動物実験の禁止を含めることが議会により検討されている。
- 中国においても、6月から、国内で製造された化粧品の動物実験が必要要件ではなく任意なり、中国企業は、時代遅れの動物実験ではなく、最新の動物を用いない試験を選択できるようになる。IIVSの上級研究員の張全順(Quanshun Zhang)博士は、進化し続ける中国の化粧品の規制が及ぼす影響について、国会議員に説明した。
- 今月上旬、中国において、IIVSの専門家による、国の規制当局、試験機関、化粧品企業及び大学の中国人科学者を対象とした、動物を用いない最先端の方法による化粧品の安全性試験に関するトレーニングが提供された。なお、このトレーニングのための資金はHSI、HSUS(全米人道協会)及びHunan Toxicology Project Consortiumが提供した。
以上 問い合わせ:
HSIイギリス: Wendy Higgins, +44 (0)7989 972 423, whiggins@hsi.org
HSI 日本担当者: 東さちこ, 070-5584-9546, sazuma@hsi.org (日本語対応のみ) 山﨑佐季子, syamazaki@hsi.org
注釈 Be Cruelty-Freeジャパンは、Be Cruelty-Free思いやりのある美しさキャンペーンという化粧品の動物実験を終わらせるための世界最大規模のキャンペーンの一部である。このキャンペーンはオーストラリア、ブラジル、カナダ、中国、インド、韓国、ニュージーランド、ロシア及び台湾で展開されており、Be Cruelty-Free USAは、Humane Society of the United States により展開されている。